千葉大学理学部 化学科
大学院融合理工学府 先進理化学専攻 化学コース

化学コースの研究室紹介&各研究室へのリンク



■基盤物質化学領域

【物理化学】



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加納 博文 教授 固体の電子・原始的構造の特徴を生かし、固体にある分子オーダーのナノスペース中の分子あるいはイオン集団の構造と電子特性などを研究しています。 ナノスペース中では分子自身と分子集団の構造と性質が特異性を持っていること、及び特別な反応性が見出されています。 装置の設計・製作から実験結果の理論的な解析まで行います。
また、柔軟な構造を有するものの一例として、有機無機ハイブリット細孔体があります。  構造柔軟な物質の構造変化や反応機構を研究するだけでなく、クリーンガスの分離や貯蔵、二酸化炭素の除去技術への応用についても研究しています。
泉 康雄 教授 基礎化学の立場から、モデル錯体/クラスター分子を固定化した表面化学反応の開発、規則的ミクロ/メソ空間を反応場とした表面化学反応の開発、環境中微量有毒元素除去の開発を行っています。 表面化学反応はダイナミックで複雑な過程のため、新たな反応の理解には種々の分光法、とりわけ機能サイトをその場で選択観察する手法が最重要です。 そのため、表面化学反応の本質に迫る選択X線分光法をオリジナルに考案・設計し、表面化学反応系に適用します。
小西 健久 准教授
二木 かおり 助教
物質に光(主にX線)、電子を照射すると内殻から電子がたたき出されます。 放出された電子は波動性によってX線の吸収強度、光電子の散乱強度等に振動が現れます。 X線、電子と物質との相互作用、及び放出された電子の運動を理解するためには、散乱の量子力学を用いた理論計算が必要になります。 その理論の精密化、実際に測定されたスペクトルの解析とともに、これらの実験を放射光施設で、あるいは実験室規模で行っています。 特にスペクトルの解析には大規模な計算が必要となり、高速コンピュータを利用しています。
城田 秀明 准教授 時間的に川上であるフェムト秒からピコ秒の時間領域の分子ダイナミクスには、分子内・分子間振動や分子の配向運動が含まれます。これらの超高速分子ダイナミクスは、化学反応の素過程、凝縮相の超高速緩和、微視的な分子間相互作用を理解する上で非常に重要です。私達の研究室では、自作したフェムト秒レーザー分光装置により、イオン液体、協奏的水素結合分子システム、溶液などの凝縮相の超高速ダイナミクスを分子レベルの視点で解明することを目指しています。
森田 剛 准教授 本研究室のテーマを一言で表すと「乱れた系の静的・動的構造化学」となります。 試料としては、超臨界流体、液体・溶液、イオン液体、多孔性炭素材料などです。 研究手法はX線散乱実験、種々のエネルギー領域の光をプローブとした分光実験、および精密物性測定です。 散乱実験からは原子の配置や揺らぎの情報が得られます。 分光学からは時間の情報が得ることができます。 すなわち、静的構造に時間軸を入れたダイナミックスを加え、対象をより多角的に理解することを目指しています。
 分子ナノ物性化学 大場 友則 准教授 分子の大きさは0.1 nm(ナノメートル;10-9m)の大きさの水素原子から10,または100 nmの大きさのマクロ分子といわれるものまであります。 (あるいはもっと大きな分子も含まれるかもしれません。) これら分子は大まかにはナノメートルで表すことができます。 ナノメートルオーダーの空間(ナノ空間)の中に閉じ込められた分子は特殊な環境下にいると考えられます。 我々のグループではナノ空間を利用して分子の動きを制御したり,分子挙動を調べたり,新しい分子反応性を見出したりしています。 また、ナノ構造体の設計もおこなっています。


【無機・分析化学】



勝田 正一 教授 ある分子が他の分子やイオンをその大きさ・形・電子配置などによって識別し、選択的に反応する現象を分子認識といいます。分子認識は生体内反応において重要な役割を果たしていますが、人工的にも抽出、クロマトグラフィー、化学センサーなどの分離法・分析法の基本原理として利用されています。本研究室では、イオン液体や超分子錯体などの機能性物質について、その溶液内反応(錯形成、イオン対生成、異種溶媒間移行など)における認識能の特性と機構を明らかにするため、種々な測定技術を用いて反応を解析しています。また、得られた知見に基づいて、これらの反応の高選択化や新しい機能性物質の創製を行い、分離法・分析法へ応用しています。
無機化学
工藤 義広 准教授 機能性大環状化合物やその一つであるクラウンエーテルは広範な分野への応用研究が展開されています。 しかしながら、特異的イオン選択性の原因を解明するために必要な基礎的データはまだ不十分です。 本研究室では、溶媒抽出法、電気伝導度法、溶解度法、電気化学測定法、イオンクロマトグラフィー等を用いて、基礎的なデータを集積するとともに、クラウンエーテルの金属イオン選択能とクラウン化合物錯体の溶存状態の解明に研究の主力を注いでいます。
環境分析化学
沼子 千弥 准教授 地球表層の環境や生物に含まれる物質は、溶存状態や固体状態など様々な存在状態を待ちながら混在しています。 またそこに含まれる元素の化学状態や結晶構造は、それらが形成された環境によって大きく変化します。 当研究室では、こういった多様な物質に含まれる元素の化学形をX線を用いた非破壊状態分析により読み取り、それらの形成環境や形成メカニズム、または特性の発生機構を解明することを試みています。 また実験室系で化学的操作により試料合成も行います。 これらを通じて、貝殻や歯、真珠など生物がつくる鉱物(生体鉱物)などの天然物質と、私たちが制御しながら合成した物質の、双方に対する理解を深めていきます。



■機能物質化学領域

【有機化学】



柳澤 章 教授 比較的簡単な化合物から複雑な化合物まで幅広い有機化合物を研究対象として、概念的に新しい有機反応の開発とともに、付加価値の高い化合物合成への応用研究を行っています。
1.有機金属反応剤を用いる高選択的反応の開発
2.キラル触媒を用いる新規不斉反応の開発
3.遷移金属触媒反応を利用する芳香族化合物の実践的合成法の開発
荒井 孝義 教授
飯田圭介 准教授
安井将満 特任助教
コンビナトリアルケミストリーの手法を取り入れた不斉触媒のテーラーメード型開発と遷移状態の精密な理解に基づき、新規で力強い有機分子の骨格構築法の開発を目指し研究を行っています。 金属が織りなすイオン結合、水素結合、ハロゲン結合など多彩な「力」を調和・協奏させ、一つのフラスコの中で生物活性が期待できるような高度に官能基化されたユニークな分子の「多様性志向型触媒的不斉合成」を展開しています。 最近では、千葉県が産出する貴重な天然資源である「ヨウ素」の高機能化を目指した研究も推進しています。
遷移金属触媒
吉田 和弘 准教授 新たな遷移金属触媒の設計と創製をもとに、意外性豊かな新反応および新変換法の開発を目指しています。合成化学分野において、新たな方法論を開発することは、有用な有機化合物の短行程合成を可能にするだけでなく、これまで合成が困難であった有機化合物の合成をも可能にします。我々は様々な遷移金属元素の多様な能力を引き出し、それを通じて新たな発見を行うことで、社会に貢献していきたいと考えています。
森山 克彦 准教授 有機合成化学において、環境調和型反応開発(グリーンケミストリー)は、重要な研究課題として注目されています。一方、生物が生存維持していくために、体内では酵素等を用いた精密な有機反応が起こっています。当研究室では、有機分子の反応剤や触媒設計等により、このような精密な有機反応を実現することを目的として研究を行っています。具体的には、ハロゲンの酸化を利用した環境調和型分子変換の開発、新規窒素–ヨウ素結合型超原子価ヨウ素化合物の開発、複雑な反応場を構築する有機分子触媒の開発、及び必須元素を巧みに利用した触媒的有機反応の開発に挑戦しています。この研究を通じて、環境保全や医薬研究に貢献できると考えています。


【生命化学】



坂根 郁夫教授
生体膜中のシグナル伝達脂質とそれを産生・除去する酵素が触媒する化学反応に注目し,それらによって制御される生体機能、更にはその制御機構を分子レベル・化学反応レベルで解析しています。そして、生命が採用したストラテジー「生命が誕生した時点から存在する生体膜を、細胞内外を仕切る壁としてだけではなく、脂質の化学的特徴を遺憾なく活用して細胞機能を調節する」の実像と詳細を生化学的に明らかにして生命の基本原理を解き明かすことを長期目標にしています。
村田 武士 教授
小笠原諭 特任准教授
安田賢司 特任助教
生体の重要な機能を担っているタンパク質の立体構造を求め、どのような化学反応が起っているのかをカタチから理解しようとしています。具体的には、V型ATPaseという膜タンパク質に焦点を絞って、そのカタチとはたらきを調べています(研究の流れ;遺伝子操作→タンパク質を大量発現→精製→結晶化→X線結晶構造解析→機能解析)。
米澤 直人 准教授 細胞が互いに相手を認識する機構の解明を主課題として取り上げ、いずれも哺乳類の細胞を対象に研究しています。 具体的には、受精における卵子と精子間の動物種に特異的な結合はどのような機構によるのかを化学構造に基づいて明らかにしようとしています。 この目標のために、遺伝子操作法や免疫化学的手法をも取り入れ研究を推進しています。

国際高等研究基幹所属:小笠原 先生、安田 先生
千葉ヨウ素資源イノベーションセンター(CIRIC):飯田 先生